自社を一度退職した元社員を再入社させている会社が増えています。

これまでは再入社というと、寿退社、出産、育児や介護と
限られてきました。

日本は、欧米と異なり、これまでは終身雇用が根強かったため、
一度会社を辞めた人間を再入社するという考え方は
あまりなかったのですが、

終身雇用制度が崩れつつある今、
最近になってこの考え方が見直されてきました。

自社の経営理念を理解し、自社でキャリアを積んだ元社員が
他社で経験を積み、豊富な人脈を活かすことができるなら、

仕事ができるかどうか全くわからない人を採用するより
リスクも少なく、採用するメリットが多いという考え方です。

米国では、転職が一般的なため、元社員をアルムナイと呼び、
一度自社を辞めた人間であっても、再入社してもらうことに
会社も社員もあまり抵抗はありません。

何らかの理由で転職を決意し、自社を去った人間であっても、
事情が変わり、新規で戦力となる人材の採用が難しい中、

再度入社を希望するなら受け入れようというこの制度は、
会社側の需要と社員側の供給がマッチし、
ある意味、理に適った制度と言えるでしょう。

日本でも、富士通、アクセンチュア、明治、大日本印刷が
カムバック制度、リメイジ制度、ジョブリターン制度
という名前で既に再入社制度を導入しています。

とはいえ、一度、会社を退社した以上、
再入社しようとする人にとって
かつての同僚や上司、部下の手前、
なかなか働きにくいこともあるでしょう。

そのため、元社員を再入社するなら、
戻ってきやすい人事制度が必要です。

では元社員が戻ってきやすい人事制度とは、どんな制度でしょうか。

具体的には、以下の要件を満たしている必要があります。

1.既存の社員と再入社の社員の両方から納得感が得られる

2.人事評価の公平性が担保されている

3.再入社の社員のキャリアの経緯を評価する

まず、再入社により給与をどうするかという問題があります。

転職によりキャリアを積み、再入社する際は、退職前より
かなりレベルアップが予想されます。

退職前は一般社員だった元社員が他社でキャリアを積み、
前職ではマネージャーになっているかもしれません。

とはいえ、他社での経験がそのまま自社で生きるかというと
もちろん生きる場合もあるでしょうが

他社で優れていたからと言って自社でそのまま優れている
とは限りません。

離職中に会社の環境も変化していますし、
以前とキャリアステージが異なれば、
また求めるものも違ってくるからです。

面接で、再入社を希望する元社員の話を鵜呑みにして、
高い待遇で迎えたものの、

自社でパフォーマンスが発揮できなかった場合
既存社員の納得感は得られないでしょう。

こういう給与の決め方をするなら

「私も一旦退職して
再入社で高い給与をもらった方がいいな」

と考える社員も出てくるかもしれません。

では、どうすればいいでしょうか。

再入社の際は、再入社を希望する元社員の申告のまま
高い待遇で正社員として迎えるのではなく、
様子見期間を設けるのがいいでしょう。

例えば、6か月間は有期契約社員として迎え、
再入社しようとする元社員のキャリアの経緯は十分評価したうえで
給与を仮決定します。

そのうえで6か月間の評価を行い、
自社の人事制度による評価に基づき、
6か月後に正社員として正式な待遇を決定し、本採用します。

そのため、面接の時点で

「契約社員としての6か月間は、
あなたのこれまでのキャリアを勘案し、
申告どおりの給与としますが、

6か月後、正社員としての正式な給与は
6ヶ月間の人事評価により決定しますので、

契約社員としての給与より上がるかもしれませんし、
下がるかもしれません。」

と伝えておく必要があります。

再入社の場合の待遇はどうするかを
予め全社員にオープンにしておけば、
公平性も担保されます。

元社員も6か月間精一杯パフォーマンスを発揮しようと
努力しますし、既存社員も仕事ぶりを見たうえで公平に評価されることに
納得感が得られます。

あなたの会社は、退職者が戻ってきやすい人事制度になっていますか?


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